有名駅弁と全国うまいもの大会

おかげさまで50周年 京王百貨店

豪華海鮮対決

明治32年創業の札幌駅立売商会は、2013年に90周年を迎えたロングセラー駅弁「石狩鮭めし」で名高い老舗です。初参加で特別企画に挑戦という重圧を、幻の食材「鮭児」によって見事に跳ね返された洲崎社長にお話をうかがいました。

ー10数年前から出店の依頼があり、今回ついに初出店とのことですが。
京王さんの駅弁大会は全国区ですし、集客力も群を抜いていますから参加したいという気持ちはもちろんありました。しかし、当社が実演イベントに参加したのは20年も前のことで、運営面の不安があり控えていたんです。
今年(2013年)は、当社の定番駅弁「石狩鮭めし」が90周年を迎えたこともあり、「新しい挑戦をしていこう」という思いから心機一転、出店を決意しました。

ー「鮭児入り 三大鮭めし」が生まれた経緯を教えてください。
当初は、「石狩鮭めし」での出店を考えていたのですが、特別企画ですからね。北海道でもほとんど手に入らない「鮭児」を使って、鮭弁の最高峰を目指しました。

ー今まで以上にこだわられたこと、ご苦労されたことはありますか?
「鮭児」は、1万本に1~2本といわれていますので、確保には本当に苦労しました(笑)。
普通の鮭は4~5年で産卵のため帰ってくるのですが、「鮭児」は2歳のまだ若い鮭が大人の群れに紛れ込み戻ってくるので、いつ水揚げされるかわからないんです。
札幌中央市場をはじめ、北海道中の市場や漁港に声をかけていたのですが、高級な料亭や寿司屋へ卸されるのが常ですので、はじめのうちは指値をしてもなかなか競り落とせませんでした。
相場の勘を養いながらの厳しい取り組みでしたが、年間3000~4000本も揚がらないといわれる「鮭児」を、最終的には駅弁1万食分に当たる200本強確保することができました。
そのため1,950円と高価な駅弁になりましたが、京王さんの後ろ盾がなければきっと実現しなかっただろうと思いますし、当社の長い歴史のなかでもこのようなお弁当をつくったのははじめてのことです。

大正時代(上)、昭和時代(左)の立売風景。 駅弁販売の原点です。

駅弁も鮮度がいのち!完成したお弁当は2時間毎に札幌駅へ届けられます。

ー「三大鮭めし」について、それぞれ解説をお願いします。
フレーク状にほぐした鮭を、鶏ガラスープで炊いたご飯の上に敷きつめているのが「昭和40年代版」の元祖鮭めしです。1923年に発売を開始した「石狩鮭めし」の伝統ある味わいです。
醤油だれで炊いたトラウトサーモンといくらを、昆布茶飯の上に乗せているのが「平成25年度版」の鮭めし。脂の乗った魚を厳選し、ジューシーなおいしさを実現しました。時代のニーズやお客様の味覚に合わせた、「進化版」ともいえる鮭めしです。
そして最後が「鮭児入り特別版」。脂の乗りがよく、クセがないのに身にしっかりとした旨みのある「鮭児」をご堪能いただくため、ご飯はあえて白米にしました。素材の持ち味をそのままお召し上がりいただけるよう、軽く酢でしめて仕上げています。

ー普通の鮭と「鮭児」は、見た目も味わいもかなり違うのですか?
見た目については、普通の鮭が4~5kgなのに対し、「鮭児」はまだ大人になっていませんので2kgくらいと小ぶりです。漁師さんはぱっと見てすぐにわかるそうですが、普通はなかなか見分けはつきません。
ところが味わいについては、どなたにも違いがわかるくらい歴然としています。通常の鮭の脂肪率は2~15%なのに対し、産卵を経ていない「鮭児」は20~30%くらい。成熟にともない出てくるくさみもほとんどないため、ギューッと凝縮された旨みを存分に味わっていただけます。

ー最後に、駅弁ファンの皆さまにメッセージをお願いします。
「鮭児」は、証明書を手に1本1本本物であることを確かめた、まさに折り紙つきの逸品です。普段なかなか食べられない高級魚ですし、「鮭児入り」というのは駅弁としても史上初だと思いますので、ぜひこの機会に味わってみてください。

ーありがとうございました。

めったにお目にかかれない「鮭児」を抱える洲崎社長。

「鮭児」1本1本と照らし合わせた証明書がコレです。

  • 鮭児入り 三大鮭めし
  • (北海道 函館本線/札幌駅)
    税込1,950円
    販売場所【B-4】
    各日500食販売予定
  • 酢じめにした鮭児、醤油だれで炊いたトラウトサーモン、乾煎りした秋鮭の3種類が一度に楽しめる、鮭づくしの一品。