
2021/05/11
エコマークの意味とは|制度の特徴や認定基準を紹介

さまざまな商品の容器やパッケージを見たときに、地球を両手で抱きしめているようなマークが付いている商品があることに気づいた方も多いでしょう。
このマークは「エコマーク」と呼ばれ、一定の基準をクリアしている商品に表示することが認められている環境ラベルです。その名のとおりエコなマークであることはなんとなく理解できていても、詳しくどのような意味をもつのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、エコマークのデザインやマークがもつ意味や特徴について解説します。気軽に環境保護に貢献したい方や、グリーン住宅ポイント制度を利用して、ポイントを環境に優しい商品に交換したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.エコマークの意味とは?
エコマークとは、地球が人の手によって優しく包み込まれている様子をデザインしたマークのことです。人の両手は「地球(earth)」と「環境(environment)」の頭文字を表したものであり、「自分たちの手で地球や環境を保護しよう」という願いを込めたデザインとなっています。
エコマークは、生産から廃棄までのライフサイクルを通して環境負荷が少なく、地球環境の保護に貢献すると認定されたさまざまな商品(製品・サービス)に付けられるマークです。
日本環境協会が認定するエコマークは、特定の種類の製品やサービスだけでなく、下記のように多様な製品やサービスに付与されています。
エコマークの対象となる製品やサービスの例
- 制服・体操服などの衣類
- 文房具
- 建築資材
- 土木製品
- スーパーマーケット
- ホテル
- カーシェアリング
なお、2021年2月現在、エコマーク認定商品数は41,000件を超えており、そのうち認定施設数は約4,200件です。
出典:公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局「商品の認定基準」
エコマークの認定を受けた環境に優しい商品やサービス、会社は多数存在するため、一般家庭でも普段の生活を通してエコマーク認定製品・サービスを活用できるでしょう。
2.エコマーク制度の3つの特徴
エコマークは環境に優しい商品であることを示す環境ラベル表示ですが、実は簡単に認定されるものではありません。エコマークの付与認定を受けるためには、国際標準化機構の規格(ISO14020・」ISO14024)などをもとに日本環境協会が定めた厳しい基準をクリアする必要があります。
では、エコマークはどのような制度によって認定されているのでしょうか。次に、エコマークの認定制度における3つの特徴について解説します。
2-1.ライフサイクルを通じた評価
「環境に優しい」というと、資源の再利用(リサイクル)や再使用(リユース)などを思い浮かべる方もいるでしょう。エコマーク制度では、リサイクルだけでなく、商品の原料採取・素材の製造から加工、ゴミの廃棄・排出までといった、ライフサイクル全体を通じた環境評価を行います。
エコマークの認定の可否が検討される際は、商品のライフサイクルの各段階において、次の4つの領域が考慮されているかどうか、環境評価項目をチェックします。
そのうえで、各段階における環境保全効果の内容を総合的に判断し、エコマークの認定の可否が決定されることとなります。
エコマーク制度で主に検討する環境評価の4つの領域
- (1)省資源・資源の循環
- (2)地球温暖化防止
- (3)有害物質のコントロールと制限
- (4)生物多様性の保護
2-2.公平な制度運営
世の中に流通している製品やサービスは多岐に渡ります。エコマーク制度において各カテゴリの基準を策定・制定する際には、「環境保全への貢献」だけでなく、「公平性の維持」も重視されることを確認しておきましょう。
エコマークの新たな商品カテゴリにおける基準を策定する際には、パブリックコメントの募集や、事業者・学識者・消費者からなる委員会・協議会での検討などを実施しています。商品の認定過程では、商品の生産者・供給者・メーカー・関係企業・消費者・購買者ではなく、独立した中立機関の有識者・専門家などによる審査を経なければ承認されません。
このように、エコマーク制度では、どのカテゴリの商品も公平に基準が策定され、公平な審査が行われています。制度の公平性が維持されていることにより、「マークが付いているものは環境に優しい商品」というエコマークの価値が担保されているとも言えるでしょう。
2-3.幅広い範囲の商品分野
エコマークは、文房具や制服などといった商品に付いていることが知られていますが、特定の種類の商品のみに付与されるマークというわけではありません。土木製品や建築資材、エンジンオイルなどといったように、エコマーク認定される商品は多岐に渡ります。
また、エコマークは製品だけでなく、環境配慮に優れていると認証されたサービスにもラベルされます。レストランやホテルなど、さまざまな企業やサービスでエコマーク認定されているため、環境に優しい生活を目指したい方は、身近なエコマーク認定のサービスを探してみましょう。
3.エコマークの認定基準
商品やサービスは、その用途や特徴などによって、使用する資源や環境に与える影響などが異なります。エコマーク制度では商品の用途・特徴などによって製品やサービスをカテゴライズし、製品分類ごとに認定基準を定めることで制度の公平性を保っています。
エコマーク事業における商品タイプは「商品類型」と称され、一定の方針に沿って選定されます。
エコマーク制度における商品類型の選定方針
- 社会に大きな影響を与えることができる
- 環境への負荷を大幅に低減できる
- より多くの事業者の行動を転換、誘導できる
- より多くの消費者の行動を転換、誘導できる
引用:公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局「商品類型とは」
2021年2月現在では、409種類(類型番号101〜510)もの商品類型が定められており、それぞれの基準にしたがってエコマーク認定の検討が行われています。
実際に、商品類型101「かばん・スーツケース」の「A.革製かばん」を例に見てみましょう。
革製かばん・バッグの認定基準(抜粋)
- 製品のホルムアルデヒドの含有量が、成人対象商品で300mg/kg以下であること
- 製品に使う皮革から溶出する重金属の量が基準値以下であること(例:鉛…0.8mg/kg(成人))
- 製品に使う皮革から溶出するペンタクロロフェノールの量が、成人対象商品で0.5mg/kg以下であること
出典:公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局「エコマーク商品類型 No.101「かばん・スーツケース Version1.9」認定基準書 A.革製かばん
上記表のとおり、革製かばんにおいても認定基準が複数あり、それぞれの環境基準や品櫃基準をクリアしていることを証明するための試験方法も、厳密に定められています。
エコマーク認定商品は、環境にも人間にも優しい商品として安心して活用できるでしょう。
4.グリーン住宅ポイント制度で交換できるエコマーク商品
グリーン住宅ポイント制度は、環境に優しいグリーン社会の実現と、新型コロナウイルス感染症による影響で低迷した経済活動の回復を目的として創設されたポイント制度です。
住宅購入やリフォームなどでグリーン住宅ポイントをもらうことができます。受け取ったグリーン住宅ポイントは、主に下記のような「政策テーマ」を満たした商品と交換することが可能です。
グリーン住宅ポイント制度の交換商品における政策テーマ |
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グリーン住宅ポイントと交換できる商品にはさまざまなジャンルがありますが、交換商品の中には「エコマーク認定を取得していること」を条件とする対象製品もあります。
エコマーク認定取得が条件となっている商品例 |
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【省エネ照明】
【省エネ家電製品】
【寝具】
【カーペットや敷物】
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環境に優しい家庭を目指している方や、環境意識の高い製品選びをしたい方は、ぜひ上記の情報を参考に、交換商品を選んでください。
まとめ
エコマークとは「e」の形を模した人間の両手が、地球を優しく包み込むようなデザインのマークであり、環境保全を促進すると認定を受けた商品に付与されるものです。エコマークが付与される商品は製品からサービスまで幅広く、それぞれの商品類型に合った認定基準でマーク付与の検討が行われています。
エコマークの認定基準は非常に厳しく、地球の環境や生態系にとって優しい商品でなければ認定されません。エコマーク認定商品は人間の暮らしにとっても優しい商品であるため、グリーン住宅ポイントを利用する際は、ぜひエコマーク認定商品との交換を検討してみましょう。