京王百貨店 特徴ある取り組み
有名駅弁と全国うまいもの大会

京王駅弁大会物語

各地の駅弁を常時販売する店舗も存在する中で、大会の実演販売になぜあれほどの列ができるのでしょうか。実演販売を担うのは、調製元と呼ばれる駅弁製造会社のプロ達。会場で実際に調理・販売する調製元に、駅弁づくりの想いや大会にまつわるエピソードを聞きました。

いかめし阿部商店

いかめし

いかめし阿部商店

京王の実演販売に来て30年以上!いかめし阿部商店専務の杉山栄二さんに話を聞きました。

インタビューは2017年12月に実施

―売上個数ランキング1位は2017年の52回大会までで最多の49回!御社にとって、京王の駅弁大会とは?

第1回から欠かさずに出場している、付き合いも一番長い大会です。なんといっても、「森駅のいかめし」の名前を世に広めてもらった、と思っています。全国の百貨店から声をかけてもらえるようになり、今では実演販売で全国各地を巡っています。

―いかめしは1941年の販売開始で、京王の駅弁大会は1966年スタート。大会は、半世紀以上を「いかめし」とともに歩んできました。

そうですね。私も入社してから30年以上、毎年この駅弁大会に来ています。昔は社員食堂の厨房を借りて作っていて、会場の販売はほぼ全員京王の社員、という時代もありました。若手社員が一生懸命手伝ってくれて、嬉しい思い出ですよ。1日の最高販売数6000箱を記録したのも、良い思い出です。私の前任者である前・会長夫人*によると、かつての最高記録は1万箱と言っていました。今より価格も安かったけれど、すごい記録でしょう?
*いかめし阿部商店創業者・阿部恵三男氏の夫人・静子氏。同社の「いかめし」は静子氏の発案

―年間250回を超える実演販売に職人の方を派遣されていますが、京王ならではという部分はありますか?

もうね、とにかく売れる。売れる数がよそとは全然違うんです。京王さんにとってはあれが普通なんだろうけど、うちは社の中でも精鋭の職人を連れて行くし、持っていく鍋の数・大きさも普段の比ではないんです。一度にできる量は通常規模の6倍。なのに、作るそばから売れていき、行列ができてしまう。準備するイカの量だって、尋常な数ではないんですが、どうしてもお待たせしてしまっています。
それから、さすがだと思ったのは、事前の健康衛生検査のほかに、以前、うちの従業員の休憩時間や休日に対してきちんと指導があったこと。これだけの規模・歴史のなかで一度も事故を出していないのは、こうした体制がしっかりしているからだと感じました。

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―阿部商店さんの実演を見ていて思うのは、格段にスピードがありますよね。列ができてしまうと私たちも気が気ではないのですが、行列の進みが早いんです。

一度鍋で煮えてしまえば折詰に入れるのは早いし、極力お待たせすることのないようにしていますが、ありがたいことに、これだけ並んでもお客様がお怒りにならないんです。京王のお客様は優しいというか寛容というか、本当にありがたいです。お客様を見ていると、1個のつもりがやっぱり2個・3個と注文してくださる方が多いように思います。美味しかったから、会期中にもう一回来たわよ、なんておっしゃってくれる方もいてうれしい限りです。
 毎年、この大会が終わるとすごくほっとしますね。同時に、これだけ売れた!という達成感と、あと1週間続けばいいのに、と思うことも。一年で一番売上が高いもんでね(笑)。

―53回大会で1位をとれば、通算50回トップの座、ということになりますね。

17年の夏に、不漁の影響もあって大幅に値上げ*しましたから、いつも通りにはいかないと思います。それでも、9月の北海道展ではお客様の反応は温かいもので、売上も好調でした。いかめしを懐かしがってくださる多くの方に、甘じょっぱい変わらぬ味を届けていきたいと思います。

*2017年8月、650円から780円に値上げ。原材料高騰により、販売開始以来の大幅値上げに踏み切った
※2018年1月の第53回大会で実演販売個数第1位となり、「通算50回トップの座」を達成

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