京王百貨店 特徴ある取り組み
有名駅弁と全国うまいもの大会

京王駅弁大会物語

各地の駅弁を常時販売する店舗も存在する中で、大会の実演販売になぜあれほどの列ができるのでしょうか。実演販売を担うのは、調製元と呼ばれる駅弁製造会社のプロ達。会場で実際に調理・販売する調製元に、駅弁づくりの想いや大会にまつわるエピソードを聞きました。

氏家待合所

氏家かきめし

氏家待合所

地味な見た目とは裏腹に、常にベスト10上位にランクインする北海道根室本線厚岸駅の「かきめし」。この駅弁を手掛ける氏家待合所の実演部隊を束ねる梨本豊さんにお話を伺いました。

インタビューは2020年1月に実施

―2005年から連続出店し、そのほとんどがベスト5位以内という実力派駅弁。人気の秘訣はなんでしょう?

かきめしはリピーターのお客様に支えられています。買いに来てくださるお客様の半分以上なんじゃないかな。毎年来てくださる方、その年の大会で美味しかったからと期間中にリピーターになってくださる方、この両方が「美味しかったからまた来ちゃった」と。見た目はほんとに地味ですけど、味にはかなりこだわっていて、カキのだしをベースにしたごはんの味付けはうちだけの秘伝の調合。具材も、カキは秘伝のタレで、あさり・つぶ貝・フキ・椎茸は氷砂糖、水あめ、上白糖、とそれぞれに調味料を使い分けて、飽きのこない味にしています。

―さすが「一度食べたらまた食べたくなる味」ですね!実はかきめしの実演初登場は1996年*。2005年の再登場までに、多くのお客様から「また食べたい」とリクエストが寄せられていました。

*実演初登場で第3位を記録

氏家待合所は小さな駅弁販売所兼食堂ですから、東京に人を遣りつつ厚岸駅の販売所も開ける、というのは無理でした。それでも1996年以降はかきめし出店の依頼が多く寄せられるようになって、実演をやろう!と。人手を増やし、環境が整ったのが2005年でした。
かきめしはもともと、当社の食堂の「まかない食」でね。今の社長が幼いころ体が弱いのを心配した母親が、「海のミルク」と呼ばれるカキを使って作ったのが始まりでした。かきめしの発売は昭和38年ごろのことです。もともと厚岸はカキの産地でしたが、かきめしはうちが発祥だと聞いています。その社長も体調を崩す数年前まで、ずっと実演販売に来ていました。

―アイヌ語で「カキのあるところ」に由来する地名・厚岸でかきめしが誕生したのは、「母の愛情」からだったんですね。最近は、購入者層も広がってきているように感じます。

年配の方には広く知られていましたが、会社帰りのサラリーマンやOLの方も増えてきました。ここ数年は閉場時間まで販売を続けているから、そこも影響しているかな。うちのような炊き込み飯系の実演販売は、ご飯の量の見極めが難しいんです。普通の白飯なら融通が利きますが、店舗ごとに味の違う炊き込み飯はそうはいかない。準備量が少ないと早々に売り切れてしまう、余り過ぎてももったいない。この量の見極めが安定してできるようになって、閉場時間内に売り切れということはほとんどなくなりました。

―実演ランキングで上位に入るのに、あまり行列していないですよね。定番駅弁だから折込チラシで大きく取り上げられることもないのに、すごく売れている駅弁です。

「お待たせしない」を心がけています。実演販売で出店するときは、販売員は出店先で募集するのですが、毎回同じ方にお願いしていて、弁当の掛け紙と紐かけ、金銭授受などすべての受け渡しを早くするようにしているんです。京王百貨店には北海道展にも出店していますから、毎年、駅弁大会と合わせて計6週間は来ています。この毎年6週間での慣れ、熟練度が「お待たせしない」の決め手でしょうね。
売れ行きでいえば、1位いかめし、2位牛肉どまん中、3位がその年の新作で、4位がかきめし、というのがパターンになってきました。これからは、3位以上を目指して、さらに頑張ります!引き続きの応援をよろしくお願いします。

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